上海から電車で約2時間、中国でもお茶の産地として知られている街、杭州。ここに、大極茶道を披露している茶館「太極茶道苑」があります。訪ねたのは俳優・和田正人さん(27歳)。太極拳と茶道を組み合わせた太極茶道にチャレン ジします。
    


 


*太極茶道とは*

中国には茶道の流派がいくつもあります。その中のひとつが「太極茶道」。太極拳の軽やかな身のこなしで、踊るように舞い、1杯のお茶を注ぎます。「長流壷」と呼ばれる1mほどもある長い注ぎ口の急須を鮮やかに操りながら、湯を次々と注いでいくのです。長流壷 の長い注ぎ口で、沸騰したお湯が茶碗に注がれるときには、緑茶の適温である85度くらいになるのです。大極茶道の始まりは、およそ100年前、杭州でお茶屋を営んでいた鄭家 が、お客さんに楽しんでお茶を飲んでもらおうと、茶道と太極拳を組み合わせたものと言われています。

 

*太極茶道苑*

杭州で太極茶道を披露している茶館「太極茶道苑」は、太極茶道を創始した鄭家の直径子孫にあたり、中国国内にある10万軒の茶館のトップに認められる「中華老字号」賞を授与 されています。鄭家の血筋をひくのが師匠の鄭純輝さん(50歳)。弟子たちとともにお店で暮らしています。弟子は現在15人。長流壺を使った茶道を学ぶだけでなく、お茶に関す ること全てをこの店で学んでいます。中には、中国国内の茶芸師大会でチャンピオンに なった弟子もいます。太極茶道の型は108種類。今年1月の大会でチャンピオンになったザ ンさんでも、まだ60種類しか出来ないと言います。弟子入りすると、短い人で半年、長い人では4〜5年、内弟子生活を送り、独り立ちしていきます。歴代の弟子にのれん分けした店だけでも、すでに550店舗になるそうです。

    

 


*裏話*

鄭先生には、とても大事にしている急須があります。普通の急須と違うのはその素材。紫砂(じしゅ)という素材から出来ていて、特別に作らせたもの。使い続けるうちに艶が出て、お茶も美味しくなり、よい急須になるのだそうです。「この急須は『恋人』であり、『子供』のような存在。毎日気持ちを込めて使うんだ、育てているような気持ちだよ。」と言う先生。常に手元にないと落ち着かないそうで、店内でも、外食するときも、寝ると きも、肌身離さず持っていました。ある晩、みんなでバーに行ったときには、急須の下に わざわざコースターを敷いてあげていました!心を込めて道具を使う精神は弟子にも引き 継がれ、師匠から与えられる生涯ただ一つの長流壷を、皆、想いを込めて使っているのでした。